通常は、胆汁は肝臓で生成され、胆管を通して胆嚢に蓄えられ、食事時などにコレステロールの吸収をするために十二指腸に分泌されます。その後、一部は体内に回収され、不要な大部分の胆汁は便と一緒に胆汁は体の外に排泄されます。
しかし、何らかの理由で胆管が壊れてしまうことで外に排泄される胆汁が逆流して肝臓に戻ってしまい、肝臓に影響が出ているのがこの病気です。
胆汁には胆汁酸塩、胆汁色素、コレステロール、ビリルビンなどが含まれています。これらは肝臓で不要となった成分でもあるため、胆汁が肝臓に戻ることは体の不要な成分が体の外に排泄されずに肝臓にどんどんたまっていってしまうことを意味します。
この病気が起きる原因はまだ不明ですが、自己免疫性疾患や膠原病を合併しやすいことがわかっています。
また、この病気の方の血液を検査すると抗ミトコンドリア抗体(anti-mitochondrial antibody ; AMA)という自己抗体が多く見られます。
そのことから、この病気の方は何らかの体の中の免疫細胞が自分自身を攻撃してしまう自己免疫学的機序が関与していると考えられています。
ただ、この病気にかかっていても症状が出ない方も多くいます。
肝臓の働きは主にこの3つになります。
1体にとって毒となるものを中和し、体の外に出そうとする。
2栄養素をためたり、体にとって使いやすいように形を変えたりする。
3胆汁を生成・分泌する。
逆流した胆汁が肝臓の働きを低下することで、肝臓の働きが低下すると、解毒する・栄養をためるといった働きが低下します。
そのことで生じるのが皮膚のかゆみ、皮膚や白目の部分が黄色くなる黄疸、疲れやすいといった症状です。
この病気は、このように進行していきます。
1胆汁が排泄されない
2排泄されない胆汁が肝臓の中にたまり始める(胆汁うっ滞)
3たまりすぎた胆汁が肝臓の細胞の負担になる(肝障害)
4肝臓の働きが低下する(肝繊維症、肝硬変など)
そのため、治療はどの段階にあるか、肝臓にどの程度のダメージが蓄積しているか、ということを調べることから始まります。
また、自己免疫性疾患も同時に発症している場合、そちらの治療も並行して行うことになります。
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